今日の事例はネイビーの綿素材の無地のコートの飲食系の油染みの染み抜きです。
ただの綿素材ではないので是非最後まで観てください。
永久に使える衣類はありません。
とは言え・・
自分が生きていて、その服を着たいと思う間はずっと快適に着る事が出来るのであれば・・
それは「一生モノ」となります。
Vintage古着なんてのは70年以上前の服とかがちゃんと着られる状態で売ってたりします。
服って
今の状態で十分着る事が出来るけど、着たくないってのと・・
着たいけど、今の状態では着られないって事があります。
買った服を着なくなる一番の原因は「飽き」だと言われています。
ファッションは生ものとか食べ物みたいに言っても・・
納得してしまいます。
今が旬な服と
今着たらダサい服
その両方を持っていませんか?
今、着たらダサい服だってね、買った時は旬な訳ですよね。
今日の事例のコートを最もわかりやすく別の服に例えると・・
マッキントッシュのゴム引きのコートです。
知ってる人が多いものに例えるのが一番です。
持ってる人はあの独特のニオイも知ってますよね。
あれってどう贔屓目に見ても良い匂いじゃないです。
素材は綿なんですが、ゴム引きだからこそ・・あの硬くてハリのあるシルエット、そしてニオイなんですよ。
綿素材をゴム引きにする理由は、綿素材の特性を活かしつつ、耐水性を高めたいからですが・・
耐水性を重視して雨の日に雨具として着たいなら、今ならもっと高機能な化学繊維が山ほどあります。
綿素材は天然素材です。
天然素材って沢山あって、それぞれメリットがあります。
でも足りない部分だってあるのでそれを補う工夫として異なる素材を混紡したり、特殊な加工をしたりします。
その工夫もどんどん進化します。
もともと・・機能性を高める素材を使って作った行動着的な服がいつしかファッション性重視の服になる事も珍しい事ではありません。
綿なのに、ごわごわして硬くて、通気性も吸湿性も悪くて、着心地も悪い。
でも
この独自の素材感やシルエットはこれじゃないと!
めちゃくちゃ高いし・・
ニオイもするけど・・
着たい
って感情が勝る方は買うんです。
ゴム引きにする事で耐久性だけでなく、ファッション性も爆上がり。
綿とゴム
この素材そのもの耐久性は高いんですよ。
しかし
それ以外の作りに難がありまして・・
メンテナンス性が悪く、悪い方に経年変化もしてしまいます。
それがウラジのテープの剥離です。
それから
襟等の汚れが付きやすい部分に出来る濃い色のシミ
それは・・
ゴアテックスに代表されるボンディング製品特有の悪い方の経年変化と同じです。
ゴム引きとボンディングは違います。
今日のコートはボンディング製品です。
冒頭で一生着る事が出来る様な服でも「飽き」で着なくなる事が多いって話をしましたが・・
ボンディング製品の経年変化は避けられない事から、そうじゃない服と比較すれば圧倒的に寿命が短いです。
まだ飽きてない
まだ着たい
でも剥離や接着樹脂の浸みだしが発生して着られなくなってしまうかもしれません、
着る環境
着る時間
着る頻度
洗い方
洗う頻度
収納環境
によって差がありますけど・・
防ぐ事は出来ません。
化学繊維はどんどん進化し、ボンディング加工の技術も日進月歩なので・・
今後は今の経年変化が起こらなくなる可能性はおおいにあると僕は思っています。
とは言え
今の段階ではどうしようもないんですよ。
どんなに高い服でもです。
生地と生地を接着剤でくっ付けています。
裏地の縫い目は機能性とデザイン性と兼ねてテープが貼ってあります。
洗濯絵表示だけで、経年変化の事なんか何も書いていないです。
そんな服に沢山付いてしまった油じみです。
何がついたか
じゃないんです
何についかか
それが、今日皆さんにお伝えしたい全てです。
ただの綿より耐水性は高いでしょう。
独特の風合いとシルエットでしょう。
値段もお高かったはず。
でも
染み抜きはしにくいです。
油染みは特に厄介です。
なんてことないシミでもこの服であればハイリスクです。
シミが取れないならどんどん染み抜きを強くするしかないです。
もしくは
どんどん洗浄力を重視した丸洗いをするしかないです。
それがしにくい服が御座います。
だからこそ・・
私を信じて託して頂いたんですよ。
今のままじゃ着られないけど・・
どうしてもまた着たいんです。
ハイリスクな作業をすればどんなシミも綺麗になる訳じゃないです。
シミが取れても他に悪くなってしまうなら着る事は出来ません。
お客様にはかなり悩ましい判断を強いる事になりました。
結果・・
上手くいきました。
本当にうれしいです。
お客様のご依頼あってこそのYoutubeチャンネルです。
ご利用頂き本当にありがとうございました。
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