文字にすれば60/40
とか
コットン60%ナイロン40%の混率で出来た生地の事をロクヨンって言います。
なので今日の事例は
「ロクヨンのコーチジャケットに付いた油染み」です。
アイテムはコーチジャケット
素材は綿とナイロンの混紡
シミは飲食に伴う油染み
状態は使用感ほぼゼロ。
ネイビーのロクヨンならエイジングしてかっこよく味が出るはず。
でもこれは買ったばかりか・・
ほぼ着ていないか・・
なので・・
お客様の希望は全体をクリーニングするのではなく部分的な染み抜きです。
ただシミの数やシミの範囲次第では・・
一か所一か所染み抜きをするのではなく、石油系の有機溶剤を使ったドライクリーニングの方が良い可能性があります。
洗うと傷むなんて心配は特にドライクリーニングでは不要です。
有名な話ですが安売りのあまり素材感がよくない薄いトイレットペーパーをポケットに入れて水洗いすればそれはなくなりますよ。
トイレットペーパーじゃなくティッシュならポッケの中でボロボロになるし他の部分に付くしで大変な事になりますよ。
でも同じことをドライクリーニングでやったら何事もなく濡れたトイレットペーパーがそのまま出てきます。
それを乾燥させればまたトイレで使える程です。
ビーカーに入れてかき混ぜる実験ではティッシュで折った織り鶴がそのままなぐらい生地の負担が少なく洗えます。
優しくデリケートな洗いですが油の洗浄力は極めて高いのは特徴です。
ドライクリーニングにもいろいろな溶剤があって種類はありますが、いまだにこれを超える洗浄はありません。
対してロクヨンはアメリカのアウトドアブランドであるシエラデザインが1960年代に開発したものです。
当時は機能素材として画期的でした。
撥水性
通気性
摩擦強度
風合い
詳しく知りたい方は是非「ロクヨンクロス」でググって下さい。
でも今となってはゴアテックスの様な機能素材の方が撥水性も通気性も摩擦強度も高いんでテクニカル要素で着たい人で悪天候(雨の日)にロクヨンを羽織る人はほぼいません。
ただし
独自の風合いだけは代わりになるものがないんです。
それに50年以上前に作られた機能素材ってだけで特に男性は惹かれちゃいます。
完全防水の機能素材を使ってる服って縫製じゃなくて圧着なのでいくら油染みに効果的と言ってもドライ出来ない事が多いです。
しかし・・
これはなんで?
その理由はプリントです。
プリント製品を多くはドライクリーニングの影響を受けやすいので洗濯絵表示はNGとなっています。
素材的には大丈夫でもプリント的にダメ。
ロクヨンは大変有名な混紡素材ですが、ロクヨンに限らず・・服って様々な素材の混紡や組み合わせで出来ています。
メンテナンスする側の目線で言えば・・
これがあるからダメなのか~
どうしてこの素材を使うのかな~
なんて思ってしまうんですがそんな事を言っても何の意味もありません。
そんなの作るなとか買うななんて事も一切言うつもりはありません。
どんな服だろうとどんな素材だろうとどんなシミだろうと「どんとこい」ですよ。
この人に任せておけば全部大丈夫って思ってもらえる。
そんな洋服のメンテナンス係に任命して頂ければとてもうれしいです。
このジャケットは部分染み抜きで綺麗になりました。
ご利用ありがとうございました。
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