LEE 1950年代 ピンストライプカバーオール 再生への挑戦
- 染み抜き 武田クリーニング たけしん
- 6月4日
- 読了時間: 3分
LEE 1950年代 ピンストライプカバーオール 再生への挑戦
当店にはビンテージ古着の入荷が多いんです。
今日の事例は1950年代に作られた、LEEのピンストライプのカバーオールです。
その歴史を感じさせる姿は、ビンテージにしか出せないオーラで満ちていました。
同時に長年の時が刻み込んだ、ひどい汚れとシミ、そして深いダメージに覆われていました。
まずは、この服が語る歴史に耳を傾け、お客様の想いに寄り添い・・・
しっかり時間をかけてカウンセリングさせて頂きました。
それぞれのシミが、異なる顔を見せ、適切なアプローチを求めてきます。
最近付いたばかりの飲食に伴うシミの様に容易に反応してくれるわけでもないですし・・
洗浄力を重視した洗いが出来る訳でもありません。
なんせ・・
もう製造から70年以上経過してる服ですからね。
そりゃ生地のダメージも酷い訳です。
そのダメージのある部分が酷く汚れている訳です。
大学生の娘さんと一緒に古着屋で見つけて、二人とも一目惚れ。
二人で共有したい。
これは大人になった娘さんを持つお父さんであればとてもうれしいと思いますね。
だた、この服を実際に着用したいとなれば・・
古着の「味」だけでは片付けられない問題だってありますからね。
是非トライさせて頂きたい。と心から思いました。
とは言え・・
心配な事もある訳です。
リスクに関してもお客様には正直にお伝えしました。
この服には、ビンテージ古着には相応しくないであろう、過酷な作業が必要となります。
そうしないと綺麗にならないです。
袖や襟はダメージも酷いので「傷口に塩を塗るようなもの」
襟はリペア済みとは言え・・
別の場所のダメージが出てしまうかもしれません。
また袖のホツレや破れは拡大する可能性があります。
金属のボタンの色味や光沢も変わってしまうかもしれません。
長年の蓄積による生地の変色や脆化も避けられないでしょう。
ただ
決してそんな風になる事を望んでいませんし、経験上・・
またリペアは必要であっても・・
清潔な服として快適に気持ちよく着られる様になる可能性が大いにあることをお伝えしました。
どんどん洗浄力をあげる事や強い染み抜きをする事は簡単ですが・・
一瞬一瞬の判断が、服の未来を左右します。
生地への負担を考慮し、ギリギリのところで制御しなければなりません。
どこまでなら許容できるのか。
無謀な作業は、服を必要以上に傷つけるだけですから。
この見極めこそが、しみ抜きの極意です。
結果・・・
まずマイナスポイントから
袖のダメージが酷くなりました。
襟もリペアしていない部分にダメージが出来ました。
ボタンの色味が変りました。
色柄は保っています。
袖のボタンを留めた際に露出しない部分の色と近い色に全体を復元出来ました。
汚れやシミやニオイは完全に除去できました。
この服が、これから先、お客様と娘さんの大切な思い出の一部となることを願っています。
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