1972年製の実物N-2Bを救え!セルフ洗浄で発生した「色ムラ・輪染み」の修正と、ヴィンテージメンテナンスの核心。
- 染み抜き 武田クリーニング たけしん

- 1月19日
- 読了時間: 3分
はじめに
こんにちは、武田クリーニングです。
本日ご紹介するのは、ミリタリーファンなら一目でその価値がわかる、1972年製のアメリカ軍・実物フライトジャケット「N-2B」です。
50年以上前のヴィンテージですが、リブは新品に交換されており、オーナー様の大切にされている想いが伝わってくる素晴らしいコンディション。
しかし、今回のご依頼内容は非常に切実なものでした。
「自分で洗ったら、全体が色ムラだらけになってしまった……」
愛着があるからこその「お風呂場での手洗い」。その格闘の末に起きてしまったトラブルを、プロの技術でどう解決したのか。詳しく解説していきます。
ヴィンテージファンが陥る「セルフ洗浄」の罠
お客様は、服そのものの知識は非常に豊富です。
歴史やディテールについては、僕よりもずっとお詳しいでしょう。
だからこそ、「洗濯機の機械力はNG。お風呂場で優しく手洗いをすれば大丈夫」と判断されました。
しかし、メンテナンスは「歴史」ではなく「構造と化学」の領域です。
この時代のN-2Bには、現代の服にはない「洗えない理由」が詰まっています。
1. 中綿(インターライニング)の正体
70年代のN-2Bの中綿は、ポリエステルではなく「ウール60%・コットン40%」。
これが水分を吸うと、想像を絶する重さになります。
家庭で脱水なしで乾かそうとすると、乾燥までに膨大な時間がかかり、その間に中綿に含まれる古い汚れや染料が表面のナイロンに浮き出て「輪染み」や「色ムラ」を形成してしまうのです。
2. 全てが「一体型」という難問
現代の服なら、ファーは外せます。
しかし、この実物は天然コヨーテファーもアクリルボアも、さらには天然レザーの持ち手も、すべて本体と一体。
それぞれに最適な水温も洗剤も異なるのに、それらを同時に洗わなければなりません。
これは、家庭用洗剤や湯船の温度調整では太刀打ちできない領域です。
職人の視点:なぜ「洗えている」と言えないのか
お客様は「自分でも洗えた。ファーもボアも大丈夫だった」と仰います。
ですが、結果として表地に激しいムラが出ている。
僕たちの基準では、それは「洗えた」とは呼びません。
汚れが落ち、素材がリフレッシュされ、かつ「見た目が美しく清潔であること」。
そのすべてが揃って初めて、プロのメンテナンスと言えます。
実物N-2Bのディテール:本物だけのオーラ
今回お預かりした個体の詳細も記録しておきます。
スペック: MIL-J-6278E
コントラクト: DSA100-72-C-1192(1972年・官給品)
製造メーカー: KINGS POINT MFG. CO., INC.
ラベルにある「DSA」のナンバーこそが、米軍が実際に予算を投じて発注した証。
天然のコヨーテファーの生命力、そしてウール混の中綿が持つズッシリとした重厚感。
本物だけが持つこのオーラを壊さずに、汚れだけを取り除く作業は非常にハイリスクで、やりがいのある仕事でした。
劇的なビフォーアフター
今回の作業は、まさに「構造と化学」の勝利でした。 中綿から出た汚れをコントロールし、ファーの油分を守り、ボアの奥の皮脂汚れまでかき出す。
結果……大成功です。
ヴィンテージの風合いはそのままに、清潔で均一な表情を取り戻すこ
とができました。
諦める前に、ご相談ください
ヴィンテージやレプリカのフライトジャケットは、メーカーのタグにも「洗濯不可」のマークが並んでいます。
「どこにも断られた」「自分で洗って失敗した」という方も多いはず。
全てのジャケットが受付可能ではありません。
リスクがある以上、できないことははっきりとお伝えします。
ですが、オーナー様の「この服をこれからも着続けたい」という想いには、全力で応えたい。
一応、聞いてみたいな……。
そんなお気持ちで構いません。
まずはLINEから、お持ちのジャケットの写真を添えてお問い合わせください。
あなたの大切な一着、武田クリーニングが蘇らせます。
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