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要望のいくつかを諦める どの状態であれば着る事が出来るのかを考える Burberry




製造から50年以上経過してるvintageのBurberryのステンカラーコート。


しかも・・


かなり珍しいダブルフェイスのリバーシブル。


この稀少性は魅力的です。


ただ・・


状態は極めて悪く・・


まず、生地の状態がよくありません。


ボタンの欠損や部分欠け


なんてのはいくらでも換えはありますが・・


生地自体が痩せて薄くなり、擦れの多い部分の下地が見える状態になってしまうと・・


それはもう生地の寿命です。


リバーシブルなのでネイビーのウール側の生地の状態は極めて悪いです。


お直ししてある箇所もありましたが、お直しも素人が短時間でやったんでしょう。


逆に目立つ状態です。


でもって・・


汚れやシミ


リバーシブルではありますが・・


裏地側ネイビーのウール。


表側はベージュで着ていたのでしょう。


ベージュ側のシミと汚れが凄いです。


生地の状態が悪いのはネイビーのウール。でもシミや汚れはない。


シミや汚れが酷いのはベージュの綿ポリ。生地の状態も良好。


つまり・・


このコートはリバーシブルではなく、綿ポリの表地とポリエルテルの裏地(バーバリーのチェック柄)だったら綺麗に出来ます。


きれいにしたいのはベージュ側なのに


ウールがくっついてるが故にそれが出来ない。


理由はこんなに傷んだウールに洗浄力を重視した作業が出来ないからです。


どうしてもベージュ側で着たいから・・


ウール側がどうなってもいいからトライできませんか?


との要望であれば・・やります。


但し


リスクに許諾して頂いたとしても、代金の問題も御座います。


代金が高額になるのは時間がかかるから。


2着分の用尺で出来たダブルフェイス。


しかも・・


しわが凄いんです。


きっと・・


何の知識も経験もなく、勢いだけで「えいやー」と水洗いして出来た脱水じわでしょう。


このシワも取らないといけないし・・


それから厄介なのがニオイ。


結構な臭いがしておりますので消臭も必要です。


色々な事をすればするほど、このコートにかかりきりになる時間が増えて、代金もお高くなります。


シミも汚れもニオイもシワも全部取って。


もちろん、状態は保ってお願いね。


ごもっともです。


出来れば私もそうしたいです。


でも、コスパをどう判断するかはお客様です。


今回はベージュ側は諦めて頂きまして・・


ネイビー側で何とか着る事が出来る状態をゴールにしました。


ネイビー側のウールで気になってるシワは改善します。


でも


ベージュ側で気になってるシミや汚れはかなり残ります。


そして


ニオイもよくはなりますが無臭にはなりません。


傷みの激しいウール生地の状態は何とか保てます。


ベージュ側の綿ポリの状態は全く問題なしです。


それでも、一般的なメンテナンスよりは高額ですがそれで納得して頂いての作業です。


今回の様に複数の選択肢がある場合。


何をしてほしいかの全部を諦めてもらう場合があります。


代金的にはやらない作業分お安くなりますからね。


要望のいくつかを諦めたとしても・・


どの状態であれば


「着る事が出来るのか」


今日の事例は大変参考になるのではないでしょうか。


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