【Levi's 517】「色落ちはNG、でも黄ばみは取って」という難題。プロが教えるヴィンテージデニム復元の真実と、清潔感の価値。
- 染み抜き 武田クリーニング たけしん

- 9 分前
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1. 服好きを唸らせる「あえて」の選択:80s Levi's 517
今回お預かりしたのは、古着市場でも根強い人気を誇る1980年代のリーバイス517「オレンジタブ」です。 501の王道感も良いですが、「501はお腹いっぱい」という玄人の方にこそ刺さるのが、この517ではないでしょうか。
膝から裾にかけて緩やかに広がるブーツカット、そして7本のベルトループを備えたオレンジタブ。何より目を引くのが、センタープレスを模した「センタークリース加工」です。これは保管による折りじわではなく、当時、デニムをスラックスのように美しく履きこなすために施された意図的なデザイン。この一本には、80年代の空気感が凝縮されています。
2. お客様からの切実なリクエストと、職人の「NO」
古着で手に入れた際、最も気になるのが「前オーナーの痕跡」である黄ばみです。 今回のお客様からも、切実なご相談をいただきました。
「黄ばみは完璧に取りたい。でも、色落ちは1mmもさせないでほしい」
デニムを愛する方なら、誰もが抱く願いです。しかし、私はプロとして、あえて最初にはっきりとお伝えしました。 「それは、無理です」と。
なぜなら、酸化して繊維の奥まで入り込んだ黄ばみ(皮脂汚れ)を取り除く化学反応は、どうしても染料に影響を与えてしまうからです。色を一切変えないことを優先すれば、黄ばみは落ちない。それが素材の特性であり、物理的な限界なのです。
3. 「清潔感」という名の、もう一つの価値
「今の色を変えたくない」という条件だけを死守すれば、汚れは残ったままになります。しかし、それではこの517が持つ「ドレッシーな清潔感」という本来の魅力は引き出せません。
私はお客様と対話を重ね、「わずかなフェード(退色)というリスクを背負ってでも、本来の輝きを取り戻す」という決断をしました。
【劇的なBefore/After】内側に宿る安心感
特に注目していただきたいのが、スレーキ(ポケットの袋布)です。 表からは見えませんが、直接肌に触れるこの部分が真っ黄色に変色していると、どれだけ見た目が格好良くても「気持ちよく」は履けません。
徹底的な洗浄により、このスレーキを本来の白さへ復元しました。 そして表側。黄ばみの「膜」を取り除いたことで、先染めブラック特有のシャープなグレーが蘇り、眠っていたセンタープレスの白線がパキッと鮮明に浮かび上がりました。
4. 最後に:あなたの大切な一着へ
「ヴィンテージの味」と「単なる汚れ」は違います。 清潔感を取り戻したデニムは、単なる古着から、あなたのワードローブを彩る一着へと進化します。
武田クリーニングでは、お問い合わせから作業、納品まで、すべての工程を私自身が担当します。 「古着だから仕方ない」と諦める前に、まずは私にご相談ください。 あなたの大切な一着と、誠実に向き合います。
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