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【ゴアテックスの真実】撥水が切れると「激しく蒸れる」?モンベル名作ストームクルーザーから学ぶ透湿性回復術(前編)



こんにちは、染み抜き武田クリーニングです!

今日は、多くのアウトドア愛好家が持つ、高機能ウェアの代名詞、モンベルの「ストームクルーザー ジャケット(ゴアテックスモデル)」のメンテナンス事例をご紹介します。

この動画と記事は、「撥水が切れたけど、まだ中まで濡れないから大丈夫」と、高機能ウェアをそのまま使い続けている全ての方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。


1. 機能素材を使ったウェアの「哲学」


アウトドアブランドのジャケットが持つ、その機能性の高さは、私たちの遊びを豊かにしてくれる魅力そのものです。

寒さ、風、雨、雪、摩擦...過酷な環境において、着用者が快適に過ごせることを徹底的に意識して開発されています。つまり、楽しく外遊びを満喫できるための道具なのです。

良いウェアは、もちろん安くはありません。しかし、ブランド独自の機能素材ではなく、ゴアテックスのような信頼性の高い素材が使われている場合、モンベルのストームクルーザーは、その性能を考えるとコストパフォーマンスは非常に優れていると言えるでしょう。


2. 名作「ストームクルーザー」の撥水問題


今回お預かりしたのは、長年ご愛用されているゴアテックス搭載のストームクルーザーです。

(※ご存知の通り、ストームクルーザーは2025年SSモデルからモンベル独自の「スーパードライテック」へ素材が切り替わりましたが、今回扱うのは多くのユーザーが所有するゴアテックスモデルです。)

ゴアテックスウェアは、ご自宅で水洗いOKです。撥水加工も自分で行うことは可能です。にもかかわらず、なぜ当店にご依頼いただくのか。

多くの方が「自分でやりたくない」という理由だけでなく、「シミを取りたい」、あるいは「自分でやっても撥水性が回復しなかった」という明確な理由をお持ちです。

今日の事例は、特に撥水性が完全に失われている状態でした。


3. 【最も重要】撥水性が失われると、なぜ「蒸れる」のか?


ここからが本題です。撥水性は使用により次第に劣化しますが、その結果起こる現象に、多くの誤解があります。

お客様が仰るように、「撥水が効かなくても、中までは濡れないから防水は大丈夫」というのは、ある意味で事実です。ウェアの防水膜(ゴアテックスメンブレン)に物理的な穴が開いていなければ、「防水性能」自体は生きているからです。

しかし、これが激しい「蒸れ」の原因となり、快適性を完全に奪ってしまいます。


撥水切れで「蒸れ放題」になる仕組み


ゴアテックスの仕組みは、水滴(液体)よりもはるかに小さい水蒸気(気体)だけを通す微細な孔を持つ膜で、内側と外側の湿度の差を利用して湿気を外に逃がすことで透湿性を確保しています。

  1. 【撥水性が効いている(正常)】

    • 表地が乾いているため、内側から抜けてきた水蒸気は、メンブレンを通り抜け、乾いた表地からスムーズに外部へ放出されます。

  2. 【撥水性が失われる(撥水切れ)】

    • 表地が水分を吸い込み、生地全体が濡れた水の膜で覆われます。これが**「表面濡れ」**です。

    • この水の膜が、メンブレンがせっかく外に排出しようとした水蒸気の**通り道を完全に塞いでしまう(フタをする)**のです。

  3. 【結果】

    • 湿気が外へ抜けなくなり、衣服内に水蒸気が溜まり続けます。これがウェア内部で結露し、**激しい「蒸れ」**として体感されます。

つまり、ゴアテックスの**「防水性」と「透湿性」は壊れていません**が、表地の撥水性が失われたことで、透湿機能が外部からフタをされた状態になり、その「性能」が発揮できなくなってしまうのです。


4. 快適性を奪うその他の悪影響


蒸れ以外にも、撥水切れは不快な影響をもたらします。

  • ウェアの重量増: 水を含んだ生地は重くなり、行動の負担が増します。

  • 体温の低下リスク: 冷たい水を含んだ生地が体に触れることで、熱が奪われやすくなり、特に冬山や悪天候下では低体温症のリスクを高めます。

ゴアテックスを着ているのに、まるでコンビニで買った半透明のビニールレインウェアのようにびしょ濡れで蒸れ放題。そんなジャケットは、もはや高機能ウェアとは呼べません。


5. 撥水回復は「洗濯」から


この状態を解消するには、単に撥水スプレーをかけるだけでは不十分です。

まずは、洗濯によって生地に詰まった皮脂、油、汚れを徹底的に落とす必要があります。汚れが残ったままでは、撥水剤が繊維に均一に、そしてしっかりと定着してくれないからです。

今回はまず、その適切な洗濯と特殊な加工により、失われていた撥水性を完全に回復させることができました。




6. 後編へ続く


このストームクルーザーは、実は撥水性だけでなく、長年の使用による頑固なシミと全体汚れが目立つ状態でした。

次回の後編では、この汚れに対し、プロの判断と技術でどのようにアプローチし、買った時の状態に近づけたのかを詳しく解説します。ぜひ、後編もご覧ください。

「洗えるのは知ってるけど、大事な服だからこそプロに任せたい」という方。 黄ばみ、シミ、撥水回復でお困りの際は、ぜひ武田クリーニングにご相談ください。

【お問い合わせ方法】 LINEが非常に便利です。洋服全体の写真、シミの部分、洗濯表示タグの3点をお送りください。 ▶︎ LINE ID:siminuki-takeda ▶︎ SNS:https://www.instagram.com/siminuki_takeda/

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