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セカスト時代のヴィンテージ古着ケア|「有り(味)」と「無し(黄ばみ)」を見極めるヘラクレス・シャンブレーシャツの復元加工

どうも、こんにちは。シミ抜き武田クリーニングの武田です。

今、ヴィンテージ古着は非常に人気が高く、私のもとにも多くのお問い合わせが寄せられています。 しかし、古い服ゆえに、そこには様々な『経年変化』が刻まれています。

「何を当たり前のことを言っているんだ?」と思われるかもしれませんね。それってヴィンテージ古着に限らず、近年物の一般的な中古品すべてに当てはまりますよね。

でも、時代は変わりました。と言うか、常に変わり続けています。

兄弟や家族以外の他人が着ていた服や靴を、試着もしないでネットで買う。ほんの数年前には、誰もそんな買い物はしなかったですよね。 今やセカンドストリート(セカスト)の国内店舗数は、あのユニクロを上回っています。コンビニや他の量販店だった場所が、いつの間にかセカストになっているんじゃないですかね。「居抜き物件」に関するアンテナの感度を最高に高くして、街のあちこちにスピーディーに出店しています。ロードサイドを走っていると、「あれ?ここもセカストになったんだ」と感じる機会が増えたのではないでしょうか。身近な服の処分や掘り出し物探しは、今やとても身近になっております。まあ便利ですし、売るのも買うのも楽しいですよね。


古着の「有り」と「無し」の境界線

古着として『有り』なものと『無し』なものの境界線は人によって違いますが……「有り」だからこそ、お金を出して買ったわけですよね。

共感されやすいであろう『有り』なもの。 今日の事例のシャンブレーシャツなんかは、長年の着用によって生まれたフェード感はアリでしょうね。ワークウェアのど真ん中でありながら、全然おしゃれに着ることもできるので、かなり使い勝手のいいシャツですよ。 背中の部分的な色抜け、そして傷穴やダメージといった状態も、お客様的には「有り」だそうです。また、袖の緑の小さなシミも別に気にならないと。

というか、こういうディテールを気にするくらいなら、新品でフリーホイーラーズのニールシャツとかを着た方が、よっぽど気持ちよく着ることができますよね。フリホに限らず、ウエアハウスとかのレプリカもめちゃくちゃ魅力的ですが……やっぱりね、本物のヴィンテージには、その服の歴史があり『味』も濃いわけです。なんて言えばいいか難しいんですが、オーラが凄いんですよね。

そんなヴィンテージ古着を、いざ自分で着るとなった場合。 気になるのは、黄ばみ、頑固な汚れ、そしてニオイといった『不潔さ』です。

古着を買うということは、この『有り』と『無し』が混在している状態からスタートします。


頑固な黄ばみと、ヴィンテージの風合いを維持する「加減」

今回お預かりしたのは、ワークウェアの黄金期を支えたブランド「HERCULES(ヘラクレス)」のヴィンテージシャンブレーシャツ。 全体的に黄ばんでおり、それが原因で発色性が悪くなっています。古着特有のニオイもします。ただ、特にお客様が嫌なのが「お腹の黄ばみ」でした。これね……実際にお預かりして現物を見ると、写真で見る以上に深刻な状態でした。

黄ばみやニオイに関しては綺麗にする自信があるんですが、問題は、色の定着の強さや生地の脆化(弱り具合)です。

この良い感じのフェード感は保ちたい。傷穴や生地の薄くなっている部分は今の状態を保ちたい。ヘラクレスのタグも保ちたいし、黒の猫目ボタンも保ちたい。 黄ばみとニオイを完全に消し去ることだけを目的にするなら、「攻めのメンテナンス」がしやすいです。でも同時に、守りたい部分を維持しなければなりません。この加減こそが技術です。

ただ、技術を誇示したいわけではありません。また、これを家庭で綺麗にできる方法を教えるためのブログでもありません。同じようなシミや汚れでお困りの方に見ていただき、選択肢があることを知っていただくことが目的です。


完璧な「攻守のバランス」がもたらした仕上がり

シャンブレーシャツの古着って、襟の色が抜けて真っ白なものをよく見かけますよね。それだけ色が抜けやすいんですよ。ただ白くなっているのなら、まだいいですよね。これが「黄ばみ」となると嫌でしょ。

作業時間がどれだけ膨らもうと、私は常に『引き際』を探ります。これ以上攻めれば、不自然な色の段差ができる。これ以上洗えば、すでに弱っている生地に新たな穴が開いてしまう。シミを完全に消すことよりも、『着用可能な状態とヴィンテージの風合いを保つこと』を最優先にする。

「ダメージが拡大してもいい。色も薄くなってもいい。それでも綺麗にしたい」というお客様の覚悟に共感し、その期待に応えるために、持てるすべての知識と経験を注ぎ込みますが……出来れば維持したい部分は維持して、綺麗にしたいですよね。ブランドタグの文字はしっかりと残したいですよね。

結果として、この服が持つ『格好よさ』を最大化することができました。ヴィンテージメンテナンスにおける『攻守のバランス』が完璧な復元加工でした。

全体を覆っていた古い黄ばみが抜けたことで、残すべきフェード感が美しく引き立ち、驚くほど清潔感のある見た目へと変わりました。元々あった背中のダメージを拡大させることもなく、新たな傷穴も一切作らずに、ヴィンテージの『味』だけを完璧に残した状態で仕上がりました。

大切なお洋服のメンテナンスに迷われている方の、ひとつの参考になれば幸いです。

ヴィンテージ古着の「無し」な汚れをリセットしたいときは、いつでもお気軽にご相談ください。


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