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パタゴニア「ジャクソングレイシャージャケット」の黒ずみリセット。シームレスダウンのメンテナンスと「乾燥」の重要性
本日ご紹介するのは、アウトドアを愛する方に絶大な支持を受けるパタゴニア(Patagonia)の「ジャクソングレイシャージャケット」です。タグを確認すると、2024年モデル(STY27921)であることがわかります。 定価は71,500円。決して安い買い物ではありませんが、オーナー様はこの一着を「日常の道具」として、とても大切に、かつ力強く着倒されていました。その証拠が、襟元と袖口に刻まれた濃い黒ずみです。 パタゴニアらしい「機能」と、クリーニング屋の「本音」 このジャケットは、パタゴニア独自の防水透湿素材「H2No」を採用し、中綿には700フィルパワーのリサイクルダウンが詰まっています。どんな悪天候も跳ね返す全天候型のスペックです。 しかし、クリーニング屋の視点で見ると、近年の主流である「熱圧着(シームレス)」構造には、ある矛盾を感じずにはいられません。パタゴニアは「直して着る」ことを提唱していますが、シームレスの「剥離」は、今の技術では縫製のように直すことができないからです。 機能性と引き換えに、耐久性やメンテナンス性が犠牲になっている側面があ

武田信一
5月2日読了時間: 3分


【35年前のトレンチコート蘇生記】クリーニング店で断られたルイ・フェロー(Louis Féraud)の古いシミは抜けるのか?シミ抜きの真実を全公開
1. 「捨てられない一着」に宿る想い クローゼットの奥で、何年も、あるいは何十年も眠っている一着はありませんか? 「いつか着ようと思っているけれど、このシミのせいで着られない。でも、どうしても捨てられない……」 今回ご紹介するのは、そんな切実な想いと共に、遠方より届いたLouis Féraud(ルイ・フェロー)のトレンチコートの修復事例です。 オーナー様がこのコートを購入されたのは、今から35年前のこと。かつてクリーニング店に相談した際には「このシミは取れない」と断られ、一度は諦めていたそうです。しかし、当店のYouTube動画を見つけ、「ここが最後のチャンスかもしれない」と、私を信じて託してくださいました。 2. 35年分の「酸化変色」という難敵 お預かりしたコートを拝見すると、前身頃や袖、背中、ベルトに至るまで、広範囲に茶褐色のシミが点在していました。 35年という歳月は、服にとっては過酷な時間です。付着した汚れは酸素と結びつき、繊維の奥深くで「酸化」を起こします。こうなると、通常のドライクリーニングや簡易的な染み抜きでは、びくともしません。

武田信一
4月15日読了時間: 4分


【モンクレール】白い刺繍の黄ばみを落とす!プロが語る「汚れの可視化」とはっ水加工の真実
はじめに:ブランドの象徴「白い刺繍」の悩み モンクレールのダウンジャケット。その象徴ともいえるのが、フードや襟元に施された美しいブランドロゴの刺繍です。 しかし、本来真っ白であるはずのその刺繍が、気がつくとどんよりとした「黄ばみ」に変わってしまってはいませんか? 特に襟周りは、皮脂汚れが直接触れるため、汚れが蓄積しやすい非常にデリケートなポイントです。「クリーニングに出したけれど、刺繍の黄ばみまでは落ちなかった」と諦めていた方も多いのではないでしょうか。 今回は、そんなモンクレールの刺繍復元事例とともに、私が日頃から大切にしている「メンテナンスの考え方」についてお話しします。 1. 汚れが「見える」ことは、実は悪いことじゃない よくお客様から「カレーうどんを食べる時は白い服はヤバい」とか、「白い犬や猫を飼っているから黒い服しか着られない」といったお話を伺います。 しかし、私の感覚はその逆なんです。 汚れが目立たない色を選ぶということは、単に「汚れが見えていないだけ」で、汚れていないわけではありません。白も黒も、付着する汚れの量は同じなのです。..

武田信一
4月6日読了時間: 4分


カナダグースの寿命を縮めていませんか?購入後一度も洗っていないダウンを「しまい洗い」するべき本当の理由
こんにちは。山形県天童市でシミ抜きと衣類のメンテナンスを専門に行っております、 シミ抜き武田クリーニング です。 今日から4月。 山形も少しずつ春の気配が漂い始め、冬の間活躍したダウンウェアを片付ける時期がやってきました。 さて、皆さんのクローゼットにあるそのダウン、そのまま眠らせようとしていませんか? 「今年はあまり汚れなかったし、来年でいいか……」 そんな風に「先延ばし」をしてしまうお気持ち、実はよくわかります。 ダウンを洗いたくない理由、洗わなくていい理由 クリーニング代は決して安くありませんし、出しに行く手間もかかります。 目で見て汚れがなければ「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせたくなるものです。 中には、除菌消臭スプレーだけで「洗ったつもり」になっている方もいらっしゃるかもしれません。 でも、本当にそれは「愛着ある一着」にとって正しい選択でしょうか? 【事例】一度も洗わなかったカナダグースの末路 今回ご紹介するのは、レディースのカナダグース。 購入してから数シーズン、一度もクリーニングに出したことがなかったという一着です。...

武田信一
4月1日読了時間: 3分


33年目の真実。1993年製パタゴニア「ダスパーカ・ブライトパープル」を蘇らせる。|幻の一着・初代モデル復元記
こんにちは、シミ抜き武田クリーニング 店長の武田信一です。 本日ご紹介するのは、まさに「伝説」と呼ぶにふさわしい一着。 1992年に誕生した「ダスパーカ」の翌年モデルであり、パタゴニアの歴史において「原点」にして「頂点」と称される、 1993年製・ブライトパープル です。 ■ 33年という「時間」と向き合う この一着は、オーナー様が当時、新品で購入されたものです。 それから33年。共に冬を越し、共に時を重ねてきた相棒。 現在、ヴィンテージ市場では目にする機会すら失われつつあり、相場すら存在しない「幻の至宝」となっています。しかし、オーナー様が見つめているのは市場価値ではありません。共に歩んだ33年という「時間」によって蓄積された汚れをリセットし、再びこの服と歩みたいという純粋な想いでした。 ■ 現場で突きつけられた「フェード」という現実 検品時にまず向き合ったのは、表地全体に進行した「フェード(色褪せ)」です。 内ポケットの地色と比較すれば、その差は歴然でした。 この「消せない歴史」を正確にお伝えし、どこまでが汚れで、どこからが変色なのかを見極め

武田信一
3月25日読了時間: 3分


【保存版】バーバリーのトレンチコート、諦める前に見て。10年放置のカビ・酸化による変色を完全復元
「大切にしすぎた」からこそ起こる、クローゼットの悲劇 こんにちは、 シミ抜き武田クリーニング 店長の武田信一です。 今回ご紹介するのは、誰もが憧れる一生モノの服、 バーバリー(Burberry)のトレンチコート です。 お客様からお預かりしたこのコート、一目見て「本当に大切にされていたんだな」と感じました。しかし、皮肉なことに、あまりにも大切に収納しすぎた結果、着ていない間にも収納環境でカビが発生し、汚れが酸化して茶色く変色してしまっていました。 「久しぶりに着ようと思ったら、シミだらけだった……」 「クリーニングに出したはずなのに、落ちていない……」 そんな絶望を抱えて当店に辿り着くお客様は、実はとても多いのです。 なぜバーバリーは「一生モノ」なのか? バーバリーのトレンチコートは、単なるブランド品ではありません。 時代を超越したデザイン: 数十年前のモデルでも、現代のトレンドに全く引けを取りません。 卓越した耐久性: 親から子へ、そして孫へ。世代を超えて受け継ぐことができる数少ない服です。 性別も年齢も問わない: 誰が着てもその人の品格

武田信一
3月22日読了時間: 3分


【タトラスの罠】小さなシミを自分で消そうとして、大きな後悔をしていませんか?
導入:目の前にある、その「小さなシミ」 山形の武田クリーニングです。 私たち夫婦で営むこの店には、日々全国から大切なお洋服が届きます。 今日ご紹介するのは、ほとんど使用感のない、最高のコンディションでお預かりしたタトラス(TATRAS)のダウンジャケットです。 「あ、シミがついちゃった」 そう気づいたとき、あなたならどうしますか? 「これくらいなら、自分で シミ抜き できるかも」 「ネットで調べればやり方が出てくるし、自分でやればタダだし」 そう思ってしまったら、もう止めることはできません。 何の根拠も、経験も、知識もない。 それでも「自分なら取れる」と思い込んでしまう……。 それは、その服を大切にしたいと願う、持ち主ゆえの切ない心理状態なのかもしれません。 素材の正体:ロロ・ピアーナ「レインシステム」の「罠」 今回のお相手は、イタリアの名門ロロ・ピアーナ社の「RAIN SYSTEM(レインシステム)」。 本来、この高級ウール素材は素晴らしい撥水性を持っています。 雨や雪を弾き、ちょっと濡れたくらいでは「濡れ色」にすらなりません。 ですが

武田信一
3月2日読了時間: 3分


10年洗っていないノースフェイスのダウンは復活するのか?職人が教える「汚れの真実」と「再生の工程」
【雪国・山形のライフスタイルとダウン】 山形県天童市でクリーニング店を営む、武田クリーニングです。 ここ山形は完全な車社会。一人一台が当たり前の生活では、移動は常に車です。外を歩く時間が短いため、実は厚手の防寒着よりも、薄手で動きやすいダウンジャケットが最も重宝されます。 しかし、その「使い勝手の良さ」ゆえに、ついついメンテナンスを後回しにしていないでしょうか? 【10年未洗浄のダウンが抱える「深刻なリスク」】 今回お預かりしたのは、購入から10数年、一度もクリーニングに出したことがないというノースフェイスのダウンです。 一見すると「少し汚れているかな?」という程度に見えるかもしれません。しかし、プロの視点で見ると、その状態は非常に深刻でした。 皮脂汚れによる酸化 10年分の汗や皮脂が生地に蓄積し、酸化が進んでいます。これは生地の劣化を早めるだけでなく、独特のベタつきの原因になります。 ロフト(中綿の膨らみ)の消失 ダウン(羽毛)が皮脂を吸って固まると、空気の層を作れなくなり、保温力が劇的に低下します。「最近暖かくなくなった」と感じる原因の多

武田信一
2月10日読了時間: 2分


ECWCS GEN3 Level 7(レベル7)のロフト復元とメンテナンス術。プリマロフトを「しぼんだ風船」から「マシュマロ」へ復活させる方法
冬のミリタリーウェアの頂点、 ECWCS GEN3 Level 7(エクワックス・ジェンスリー・レベルセブン) 。 通称「マシュマロスーツ」や「ハッピースーツ」と呼ばれるこのアウターは、米軍の極寒地用レイヤリングシステムの最終レイヤーとして、圧倒的な防寒性能を誇ります。 しかし、中古市場で手に入れた「Small-Short」などのゴールデンサイズを手に取った際、「思ったよりボリュームがない」「シルエットがイメージと違う」と落胆される方が少なくありません。 今回は、数多くのLevel 7をメンテナンスしてきた武田クリーニングの視点から、「なぜLevel 7はヘタるのか」 そして 「どうすれば本来の性能を取り戻せるのか」を徹底解説します。 1. エクワックス・レベル7の核「プリマロフト」の宿命 Level 7の中綿には、米軍の要請で開発された人工羽毛**「PRIMALOFT®(プリマロフト)」**が採用されています。「羽毛に代わる素材でありながら、水に濡れても保温力を失わない」という画期的な特性を持っています。 しかし、このプリマロフトにも弱点があり

武田信一
2月4日読了時間: 3分
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