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【バルトロのふっくら感を完全復元】ノースフェイスのダウンクリーニングと「生地の脆化」を防ぐお手入れの極意

  • 執筆者の写真: 染み抜き 武田クリーニング
    染み抜き 武田クリーニング
  • 5 時間前
  • 読了時間: 5分

お盆が過ぎると、アパレルショップの店頭には早くも秋冬の新作が並び始めます。


セールで手頃になった夏物を横目に、「次の季節に何を着ようか」とワクワクしている服好きの方も多いのではないでしょうか。


「服はひとつ前の季節に定価で買う」


と言われるように、お洒落な方ほど冬支度への動き出しが早いものです。


クリーニング屋も夏場にたくさんの冬物アウターをお預かりしますが、これは単に季節を先取りしているわけではありません。


前のシーズンに活躍した大切な服の汚れをリセットし、次の冬も最高のコンディションで快適に着るための欠かせないメンテナンスです。


今回ご紹介するのは、冬の街着(タウンユース)として不動の人気を誇る、THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)の「バルトロライトジャケット(Baltro Light Jacket)」です。


昨年に引き続き、2年連続で山形の当店へ宅配クリーニングをご依頼いただきました。


届いた伝票のお名前を拝見すると苗字が変わっていらっしゃり、ご結婚されて新生活がスタートした中でも、こうして遠く離れた当店を思い出して託してくださったことに、職人として胸が温かくなりました。


バルトロライトジャケットの検品と状態


バルトロは首元にボリュームのあるダウン襟が立ち上がっており、防寒性に優れている反面、肌と直接密着しやすい構造になっています。


そのため、襟の内側には皮脂汚れや女性のファンデーションが蓄積しやすいのが特徴です。


しかし、今回お預かりしたバルトロは襟元に目立った汚れがなく、日頃から非常に大切に着用されていることが伝わってきました。


全体的に状態は良好でしたが、専門的な視点で細かくチェックすると以下の2点にアプローチが必要でした。


  1. 袖裏の皮脂汚れ・黒ずみ 手首まわりはどうしても日常動作で擦れやすく、自然と皮脂やホコリを吸着して黒ずみが発生します。こちらは適切な前処理を行えば問題なく落とせる汚れです。


  2. 右袖先端の「スレによる生地の脆化(ぜいか)」 注視すべきポイントだったのが、右袖先の生地の傷みです。日常の摩擦によって表生地の繊維が弱り、風合いが部分的に変化(脆化)していました。 この生地の脆化やスレ傷は、一度起きてしまうとクリーニングやシミ抜きで元通りに修復することはできません。これ以上生地に負荷をかけないよう、極めて慎重な取り扱いが求められる状態でした。


高機能ダウン「バルトロ」のメンテナンスが難しい理由


バルトロライトジャケットのお手入れは、一般的なダウンジャケットと比べて難易度が格段に高くなります。その理由は、採用されている高機能素材の特性にあります。


  • 表地:GORE-TEX INFINIUM / WINDSTOPPER 防風性と透湿性に優れ、軽くてしなやかな着心地を実現している反面、「水や空気を通しにくい」という性質を持っています。 そのため、一般的なダウンと同じ感覚で水洗いすると、内部に洗剤液が均一に行き渡らなかったり、すすぎ不足や乾燥時の空気抜けの悪さによって内部の羽毛がダマになり、ペタペタに潰れてしまうトラブルが起きやすくなります。


  • 中綿:光電子ダウン 特殊セラミックスの遠赤外線効果で自然な暖かさを生み出す高品質なダウンです。羽毛の一本一本が繊細なため、適切な温度・湿度管理のもとで乾燥させなければ、本来のふっくらとしたロフト(かさ高)が蘇りません。


さらに、洗濯表示通りのマイルドな水洗いだけでは、繊維の奥に固着した皮脂汚れを完全に落としきれないことも、家庭洗濯や一般的なクリーニングでの失敗が多い原因です。


職人による洗浄・シミ抜き・ロフト復元工程


当店では、バルトロの特性と現状のダメージレベルに合わせた専用の工程でメンテナンスを行いました。


  • デリケートな手作業によるピンポイント前処理 右袖先の脆化している部分に過度な摩擦刺激を与えないよう細心の注意を払いながら、特殊調合した薬剤を用いて、袖裏の皮脂汚れだけをピンポイントに分解・除去しました。


  • 面ファスナー(マジックテープ)のホコリ除去 フロントの面ファスナー(オス側)に絡みついていた細かな糸くずやホコリを手作業で一本ずつ除去。見た目の清潔感と留め具としての機能を整えました。


  • 緻密な温湿度コントロールによるタンブリング乾燥 光電子ダウンがたっぷりと空気を含み、隅々まで均一に広がるよう、温度と湿度を細かく調整しながら時間をかけて乾燥させました。


仕上がりは、梱包で一時的に空気が抜けていた状態から劇的に復元し、バルトロ本来の「パンパンでふっくらとした圧倒的なロフト感」を取り戻しました。右袖の脆化部分にも余計なダメージを与えることなく、最善のコンディションでお手元へお戻しすることができました。


バルトロ愛用者が知っておくべき日常の注意点


バルトロを長く綺麗に着続けるために、ぜひ覚えておいていただきたいポイントが2つあります。


  1. 表生地は「摩擦」にデリケート バルトロの表生地は軽さを重視して薄く作られているため、マウンテンジャケットのような厚手のナイロンと比べると擦れに強くありません。バッグのストラップとの摩擦や、壁などとの擦れにはご注意ください。


  2. 面ファスナーの「オス側」を露出させない 前を開けてラフに羽織る際、フロントの面ファスナーのオス側(チクチクした突起面)が表生地に触れると、生地を引っ掛けて毛羽立ちやスレの原因になります。前を開けて着る際は生地に当たらないよう注意するか、保管時や着用時はできる限り面ファスナーを留めておくことをおすすめします。


大切なアウターを長く着続けるために


人間関係と同じように、お洋服も「日々の細やかな気遣い」と「節目ごとの適切なケア」を重ねることで、何年経っても素晴らしい状態を保ち続けることができます。


高機能素材を使ったダウンジャケットほど、素材の特性とダメージを見極められる専門知識と、丁寧な手作業によるお手入れが不可欠です。


シーズンが終わった後の汚れ落としや、ヘタってしまったダウンのロフト復元など、お困りの際はぜひお気軽にシミ抜き武田クリーニングへご相談ください。

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