top of page

「昔の服は本当に良い」3代受け継ぐ祖父のバーバリー。何十年もクローゼットで眠っていたヴィンテージコートの黄ばみ・カビ・蓄積臭を復元するプロのメンテナンス

  • 執筆者の写真: 染み抜き 武田クリーニング
    染み抜き 武田クリーニング
  • 3 時間前
  • 読了時間: 4分

「祖父から母へ渡ったのちに、私の代までクローゼットで眠っていたものです。もし綺麗になるのであれば、少し仕立て直して、これからは私が大切に着たいと思っています」


ファストファッションが日常に定着した現代では、洋服はワンシーズンで手放す「消耗品」のように扱われがちです。


しかし、昭和や平成の初期に作られた上質なブランドコート、特にバーバリー(Burberrys)のような名門の一着は、現代の服とは比べ物にならないほど贅沢な生地の織り、丁寧な縫製、そして頑丈な仕立てで作られています。


何十年という歳月が流れても、適切な手入れさえ施せば余裕で現役として着続けられるポテンシャルを秘めている。


大切に大切に受け継がれた服は、単なる古いヴィンテージという枠を超えて、「家族の歴史そのもの」になります。


今回ご紹介するのは、まさに3つの世代を渡り歩いてきた、バーバリーのヴィンテージ・中綿入りフード付きコートの復元事例です。


6年ぶりの再会と、託された想い出の一着


ご依頼主様は、6年前にトレンチコートの染み抜きをさせていただいたリピーターのお客様でした。


「6年前に綺麗にしていただいたトレンチコートを、今もずっと大切に着ています」という大変ありがたいお言葉とともに、そのトレンチコートの定期メンテナンスと合わせてご相談いただいたのが、このフード付きコートでした。


ご自身や他店での処置は一切されておらず、長年眠っていたそのままの状態で当店へ送っていただきました。


荷物が届き、検品台の上にコートを広げたときの第一印象は、「写真で拝見していた以上に、過酷な汚れが重層的に蓄積している」というものでした。


・襟まわり、肩、胸元、袖、裾にいたる広範囲の茶褐色化した酸化黄ばみ ・長期保管による湿気から生じたカビの酸化変色シミ ・常温では隠れていても、温度や湿度が上がると立ち上る古い皮脂とカビの混ざり合った蓄積臭


数十年という歳月の中で、繊維の奥深くまで入り込んだ汗や皮脂が空気中の酸素と結合し、完全に固着していました。


なぜ一般的なドライクリーニングではビクともしないのか


コートの内側にあるケアラベル(洗濯絵表示)を確認すると、「水洗い不可」「ドライクリーニングのみ可」と記載されています。表地は綿100%、裏地は綿とキュプラ、中綿はポリエステルです。


もしこのコートを街の一般的なクリーニング店に出した場合、絵表示通りに石油系溶剤を使った「通常のドライクリーニング」が行われます。 しかし、ドライクリーニングが得意とするのは「油性の汚れ」です。


汗の成分、カビ菌、そして長年かけて酸化して茶褐色に変色した色素やニオイの元は「色素・水溶性・不溶性」の汚れであるため、有機溶剤の中ではびくともしません。


何回ドライクリーニングを繰り返しても、この黄ばみや蓄積臭をリセットすることは不可能です。


この状態を改善し、また清潔に袖を通せる状態にするには、洗濯絵表示の制限を超えた「攻めの特殊温水洗浄」と、職人の手作業による「ピンポイントの特殊染み抜き」が絶対に不可欠でした。


攻めのメンテナンスに伴うリスクと、成功報酬制の原則


何十年も昔のデリケートなヴィンテージ品に強い洗浄力や熱をかける作業には、どうしても避けられない代償(リスク)が伴います。


服の命を守りながら、汚れとニオイを解きほぐす


仕上がったコートは、全体を重苦しく覆っていた茶褐色の黄ばみが一気に抜け去り、バーバリー本来の上品で気品あるコットンベージュのトーンが見事に復活いたしました。裏地のノバチェックも鮮やかさを取り戻し、不快な蓄積臭も完全に消え去っています。


想い出は、次の世代の日常へ


お品物が無事に届いた後、お客様から嬉しいメッセージをいただきました。 「無事コートが手元に戻ってまいりました。非常に綺麗にしていただき、大変満足しております。少し仕立て直して着用したいと思っています」


お祖父様からお母様へ、そして現代を生きる娘さんへ。

3世代にわたって受け継がれてきたコートが、再び街中を歩く一着として息を吹き返しました。「古いから」「他店で断られたから」と諦めてしまう前に、ぜひ一度ご相談ください。 良い服には、何十年経っても蘇る力があります。お客様の大切な想い出ごと、私が責任を持ってお預かりいたします。

コメント


bottom of page